見積りって、どのくらい大切なの?
価格以外の見積りの役割ってあるの?
購買にとっての見積りの重要性
モノを売り買いするときに必ずと言っていいほど現れる「見積り」。
購入前に価格を確認するのは当たり前ですよね。
特に購買という仕事は、購入費用を抑えて利益に貢献するのが仕事です。
では、やたらむやみに見積をとって、つねに価格チェックを続ければよいというわけではありません。
今回は物の購入時に欠かせない「見積り」の意味と、見積が持つ役割を解説していきます。
見積りの必要性
見積りは必ずしも必要ではありません。
お金のやり取りを生む発注には証拠として残る発注書などの契約書が必要ですが、見積もりは金額等の確認をするものなので必須の作業ではありません。
正直見積はかなり面倒です。
- 何を見積もるのか
- いつまでに回答が欲しいのか
- 1アイテムのために何社見積もるのか
最低でも上記3点は考えて見積書を作成します。
価格を知りたいだけなのに、価格以外のことも管理しないといけないのはとても面倒です。
しかし会社のお金を使って仕入れをするので、「金額や相場を知らずに買いました」は、予想以上の金額を請求された際説明ができません。
見積もりをとることは必須の業務ではないですが、資材購入費用を抑えることが購買の本質なため、見積もりは実質必須業務になります。
見積もりの役割
見積りには価格を知る以外にも大切な役割があります。
費用の相見積りに利用する
まっさきに思いつくのが、合い見積もりですね。
安く正確に仕入れるのは購買の役目です。
仕入れ可能な数社で相見積もりをすることで、最適な仕入れ先を選定します。

価格だけでなく、納期なども判断材料になるので要注意です。
購入意志を誘発させる
見積りは、その後の生産や販売に必要なために行います。
なので購入意思は比較的高いため、見積りをおこないます。
しかし相見積もりで他社に負ける場合は、購入してもらえないのでしょうか?
実際は、そんなことはありません。
見積を即答できれば、合い見積もりでは単価が少し高くても仕入れてくれる可能性が高まります。
最安値を提示できなくても、仕事の速さと正確さを示すことで仕事を得るやり方も存在しています。



早くに見積りを返せたもん勝ちではないですが、早く得正確な仕事はその後の信頼にもつながります。
発注、契約内容の確認
取引内容を明らかにすることで、発注者と受注者の認識にずれが無いことを確認します。
久しぶりの発注や、引き継いだ業務の場合、輸送費は仕入れ先持ちなどの条件がある場合があります。
再確認をする意味も込めて、見積は行うべき業務なのです。
見積の催促について



見積りをお願いしているけど、いつまで待てばいいの?



できれば期限より早く回答がほしいんだけどな。
発注さえしてしまえば、発注側は納品を待つだけ。
受注側は生産に取りかかれるので、購買としての仕事が進んでいきます。
見積りは業務として必要なことはお話ししましたが、見積り自体は業務を一時停止させることになるため、あまり長くは待ちたくないのが本音です。
~催促のタイミング~
見積りの回答には1-2週間は必要とします。
在庫品などであればスグ返事をもらうことも可能ですが、毎回生産するような品物だと、原材料費や生産期間、人員や利益計算など、考慮する点が多いためです。
しかし見積の回答待ちは業務がストップするため、早く回答が欲しいのが購買としての本音。
私の場合、「見積ろするから待っててね」などのお知らせが無い場合は5営業日程度で催促します。依頼が通っているかの確認の意味も込めてます。
反対に返事をくれる企業は安心して待つことができます。10営業日程度待ちます。
設定した回答期限は基本的に待ちましょう。



待つと言っているのに待てませんは、お互いストレスの元です。
~催促の仕方~
実際に催促の連絡をする際は、相手は見積のために動いてくれていることを前提に話をしていきましょう。
私がメールや電話で伝える際は、簡単に「先週○○のお見積りをお願いしていたのですが、現在どのような感じでしょうか?」ぐらいで伝えます。
また、見積の進捗が良くないときも多々あります。
見積の回答は貰えるが、あまり悠長に待ってられないことは購買職の課題です。
そんな時は「〇日後の会議で伝える必要があるので」や「納期が〇日予定の為、納入日も逆算すると早めに回答をもらえるとありがたいです」など、会社都合で切羽詰まってる感を演出することで相手により意識させれます。
相手企業の上層部にも対応が遅いことが伝わるのは、あまり印象としてもよろしくありません。



あくまで、相手も見積のために動いてくれていることを前提とした言葉を選びましょう。
見積もり時に必要な項目
(発注側視点)
・単価・・・現在価格がわかる。見積の有効期限に注意。
・納期目安・・・在庫品なのかと特注品なのかで納品にかかる時間が変わる→社内在庫す必要性がわかる
・回答期限・・・こちらも納期指定がある中での見積依頼となると悠長に待っていられません。合い見積もりをしている場合でも、期限内に回答が得られない場合は、今後の付き合いにもかかわる可能性があるので、極力記入しておこう。(少しは屋前に期限を終了させておくこで、もう少し待ってほしいの声にも対応できるようになる)
最低限この3項目は必須です。
回答は相手企業が独自のフォーマットで行う場合もあるので、どこに何の見積をとっているのかは把握できるようにしておきましょう。
回答期限を短めに設定しておくことで、見積したことを忘れてしまう可能性をさげれます。
見積もりをする時の注意点
多くの企業には購買調達の部があります。
そこでは日々注文商品の購買を行いながら、見積の回答も行っています。
相見積りの場合、見積りをもらったけど他社のほうが安かったので購入しなかったという場合は必ずでてきます。
しかし見積をとるのにも相手の時間を頂戴して仕事をしてもらうので、実際の購買につながらなかったとしても相手に見積のお礼を言うなどの誠意を見せる方が吉です。
見積を何度もしてくるが、なかなか買ってくれないことが続くと、見積のタイミングを後回しにされる可能性もあります。
仕事なのだからそんなわけないと思うかもしれませんが、確実に金になる方を優先しようと考えるのは企業としても当然の反応ですよね。
私はお礼の一言はメールや電話をするように心がけています。
基本的に無駄なメールのやりとりは時間の無駄なのでオススメはしませんが、私自身の「この作業はココで終了!」と確認する意味も込めてメールなどを返しています。
見積もり書の保存方法
見積書は、正式な契約書には結びつかないものの、発注書や納品書と同じく証憑書類としての役割があります。
万が一脱税が発覚したとき追徴課税ができるようにするためです。
対象となるのは自社発行の控えや、発行してもらった見積書です。
契約に至らなかった見積書は保管対象にはなりませんが、参考資料として保管する企業は多いですね。
保管期間
法人では7年、個人事業主では5年間の保存が義務付けられています。
赤字決算場合は10年間に延長されます。
また見積書の保管期間は発行日ではなく、「該当する年度の確定申告の提出期限を終えた翌日から」となります。
保管方法
紙でも電子でも見積書も管理方法は基本的には同じです。
- 事業年度ごとに分類する
- 取引先ごとに分類する
電子で受け取った際にはいくつかの注意点があります。
- 電子→紙に印刷しての保存はNG
- 電子→電子での保存はOK。(電子帳簿保存法の適用要件あります)
しかし電子→電子の場合はデータの改ざんもあり得るので、第三者機関によるタイムスタンプなどの押印をすると尚よいです。
多少お金はかかりますが、電子帳簿保存法の要件を満たすには必要なシステムです。
まとめ
見積書をもらう行為は、実際のところは無くてもいい業務。しかし購入してから「これは違う」「高すぎる」なんてことを言われないようにする材料でもあります。
また購買職のメインの仕事は、いかに低価格で資材を購入できるかです。
価格と納期は、購買の手腕にかかっています。
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