- 退去費を払いたくない
- 交渉なんてできるの?
- 退去後の流れを知りたい
敷金を入れていなければ、退去時の費用は支払うことになりがちです。
賃貸の退去時は、国土交通省による「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を基準に費用を決定していきます。
しかしこのようなガイドラインは、素人がサクッと理解できるものではありません。
理解が難しいことを、賃貸を扱う企業側が勉強していないなんて考えにくいですよね。
今回は、ガイドラインを武器にしてきた不動産会社相手に、退去費用を約40%抑えた方法を解説していきます!
(※法律の解釈等、間違い・誤解が無いように書いてまいりますが、もし不適切なものがあればご連絡ください)
退去費の請求は突然に
新居に住み始めて3カ月が立ったある日。
不動産会社から退去費用の明細が届きました。

明細っていうか、請求書しか届かんかった。
今さら?という気持ちもありましたが、もうひとつ気になる点がありました。



「費用が発生する場合は、1カ月程度で請求の明細を送ります」
10月下旬に引っ越して、明細が届いたのは1月中旬。
記憶の片隅にはあったものの、遅すぎるなぁて感じです。
初回請求額


妻は敷金などは払ていなかったため、10万は超えるんちゃう?との意見。
僕は5万くらいの予想。
ドキドキしながら封筒を開けました。
11万円の文字。
敷金などを払っていなかったため、このぐらいやろ~と妻は言いますが・・・



高すぎ!6万まで下げるわ。
不動産会社からの説明
各項目ごとに口頭で説明がありました。
費用項目 | 費用内訳 |
---|---|
塗装工事 | 壁紙や塗装部の剥がれの補修 |
フローリング工事 | フローリングの傷リペア |
畳工事 | 畳2枚の新調と処分代 |
雑工事 | 配管パテ設置 |
ハウスクリーニング | フローリング部分のワックス剥がし代と施工代 |
届いた見積書には読み取れない内訳を、電話の口頭で話したんですよね。
録音などをしていなかったので、後で言った言ってない論争になるかなとも思ったんですが、相手を信用してその場は終えました。
交渉(ゴネ)
フローリングは経年劣化がきかない部分なので、総張替は覚悟していました。
そのうえで僕対が考えた交渉がコチラ。
- 塗装工事
立ち会いのときにも説明して理解してもらった通り。塗装剥がれに関してはモノをぶつけるような場所ではないのは確認してもらった。
- フローリング工事
総張替の覚悟はしていたので、特になし。
- 畳工事
畳一枚分は破れたことを確認しているが、二枚目は聞いてない。具体的に説明して。
- 雑工事
エアコン外した時にちゃんと塞いだ。払う義理はない。
- ハウスクリーニングリスト
ワックスの剥がし代が高価とか、出ていくコチラには関係ない。望んでもないワックスがけを勝手にしておいて、剥がし代と塗装代の請求は理解できない。
基本的には払う義理がないというニュアンスで考えました。
もちろん不動産会社との連絡の際は、払う意思があることを見せます。
交渉の電話が終わると、不動産のオーナーに確認するから1主幹時間が欲しいとのこと。
こちらも急いではないので、どうぞ~と言ってその日は終わりました。
最終請求
2回目の見積明細が届いたのは、連絡から1カ月が経ったことでした。
まずは留守電で「本日送付したので、届いたころにまた電話しますね」と一言。



傷のリペアが減額になったくらいの10万ちゃうか~。
そして届いた明細がコチラ。


さすがに目を疑いました。
11万が7万円になったのです。
見積の明細をみると、「塗装工事」と「ハウスクリーニング」が消えていたのです。



納得しそうでも、とりあえずゴネとくもんやなぁ。
他の部分が減額にならなかったことを考えると、これ以上ゴネる余地もないのだなと判断。
約40%の減額ができたため、相手の気が変わらないうちに先に振込みを完了させました。
5年間の居住と減価償却
前の部屋には5年間住んでいました。
不動産屋の方に話を聞くと、カップルや2人家族の方で5年も住んでるのは珍しいと言われました。
5年も住んだのだから、経年劣化や通常損耗はあって当たり前だと思いますよね。
自分たちは悪くないのに、なんでもかんでも原状回復で直させられるのは癪です。
退去時の原状回復には、費用の支払いが減額や免除になる法律が適用されます。
減価償却という言葉を聞いたことありますか?
不動産や車などの価値が、年々減少するという考えで価値を決める方法なのですが、退去時には減価償却の考えが取り入れられます。
噛み砕いた解釈をするなら
長く住んだんのだから、最初の価値が減っているものは減額や免除しようね。
ということです。
例えばクロス(壁紙)などは代表例で、なにもしてなくても色あせてきたり少しくらい剥がれたりしますよね。
ソファを置いていれば床にへこみが出来るのも当たり前です。
このように通常の使用をしていて傷ついた箇所については、減価償却の考えが取り入れられます。
減価償却で物の価値が0に近づくのは、居住して6年経てば、クロスや床の価値は0に近づきます。



てことは、6年も住めば、退去時の費用については考えなくて済みそうだね。
しかし全ての減価償却の考えが適用されて、費用の減額に繋がるわけでばありません。
実際に僕たちが退去の際に、減額にならない減価償却の対象にフローリングがありました。
今どきどの賃貸にもあるはずのフローリングが、何年住んでも張替え費用は負担しなければならないなんて・・・
詳しくは国土交通省のガイドラインを参照ください。
原状回復っていうけど
原状回復という言葉は、退去する際は120%出てくるワードです。
よく「住む前の綺麗な状態に部屋を戻さないといけない」という勘違いが発生します。
原状回復の「原」には元(以前)のような意味もありますので、原状(以前の状態に)回復(戻す)と解釈すれば、当然のように勘違いしそうです。
現状回復について、国土交通省により作成されたガイドラインでは以下のように記述されています。
原状回復とは
原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、その費用は賃借人負担としました。そして、いわゆる経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれるものとしました。
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について



つまり、ミスって汚したりした場合は修繕費用は払わないとダメだけど、経年劣化などは自然現象なので借りた当時の新品に直さなくていいよ!ということです。
賃貸(部屋)も言ってしまえば消耗品のようなもの。朽ちていって当然です。
しかし賃貸には”資産”という側面があるので、人から借りた資産(部屋)はきれいな状態で返すのは礼儀ですよね。
この礼儀の部分が国土交通省の定めたガイドラインや他の法律が絡むから、ややこしくなるんです。
ぼったくり



僕は当たり前にぼったくりがあると考えています。
退去費用の請求なんて、いかにぼったくれるかを突き詰める場ではないでしょうか。
もちろん大家さんが直接退去時の立会いをしてくれて、修繕個所の清算見積をその場でしてくれるならぼったくりも少ないでしょう。
しかし大家さんも不動産にかかわる法律については基本無知な人が多いです。
なので不動産屋に依頼して、入居から退去に関わる全てを任せています。
不動産屋は不動産に関わる法律のプロで、こちらは素人。
対等な知識量ではありません。
大家さんからもらう不動産管理手数料(主幹ビジネス)以外でも儲けたいと思うのは、当然ですよね。
そしてガイドラインに則っているかなんて調べても分かりにくいです。言いくるめられることも多くなります。
儲けれそうなところでしっかり儲けにいくと考えれば、上手にぼったくることは当然だと僕は思います。
(※今回不動産屋を悪いように書いていますが、オーナーとグル場合もありえます)
特約
特約は厄介な契約内容の一つと覚えましょう。
たいていの契約には、特約というものがついてきます。
賃貸契約における特約とは、オーナー側が有利な内容の契約が書かれていることがほとんどです。
なにかを契約や登録をする際は、特約などにも目を通すように心がけましょう。
特約にも条件がある
契約書にサインをしてしまったから、特約は回避できないと思うのは間違いです。
あまりにも不合理な特約は無効とされたケースが最高裁で判決がありました。
特約が有効と認められる条件はいくつかありますが、今回は以下の3つを抜粋。
- 負担範囲が明確である
- 修繕費が予測しやすい
- 修繕費が莫大である
わかりやすそうで、なんかまだ抽象的ですよね。
かみくだくと、以下のようになります。
- 特約で定める修繕の範囲は具体的にどこ?
- 修繕ヵ所の金額はいくらなの?
- 修繕の費用は妥当なの?



つまり契約の際に、今後かかる費用についてイメージしにくいものは無効になる可能性があるってことですね!
立ち会いの時は写真と音声を残すべし!
立ち会いのときに、減価償却の対象などについて話されました。
こちらも退去の立ち会い前には家中の傷や汚れを掃除しながら確認しました。
そのうえで退去の立ち会いに参加しますが、修繕予定の箇所全てを調べながら交渉するのは難しいです。
可能な限り写真を撮っていましたが、すべてを撮ることは不可能でした。
本当は、動画などで録音と撮影を同時に行う方がベストです。
こちらの言い分だけではなく、立ち会い業者さんがどのような反応だったかも記録しておきましょう。
最後の費用交渉のときにも強い証拠になります。
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